遺品整理の開始時期

2025年10月7日

遺品整理の開始時期

遺品整理は故人を偲ぶ大切な作業であり、ご家族にとって心身の負担も大きいものです。法律上や契約上の期限があるものは早急に対応する必要がありますが、気持ちに関わる部分は無理に急がず、落ち着いてから進めることが望ましいです。ここでは、各項目ごとの整理開始時期の目安について説明します。

賃貸住宅に住んでいた場合の遺品整理

故人が賃貸物件に住んでいた場合は、不動産会社や大家から「1か月以内」に退去を求められるケースが多くあります。そのため、葬儀が終わった後は早急に遺品整理を始めなければなりません。家具や家電など大型の遺品が多い場合は、専門業者に依頼して短期間で一括整理するのが現実的です。

相続に関わる遺品整理

不動産や預貯金、貴金属、美術品など価値のある品は相続財産に含まれます。相続税の申告期限は「相続の開始があったことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10か月目の日」と定められており、その前に評価を行う必要があります。形見分けや売却は評価が済んでから行うのが安全です。葬儀後すぐに処分せず、四十九日を過ぎて落ち着いた時期に専門家と相談しながら進めることが望まれます。

貴重品・重要書類の整理

通帳、印鑑、保険証券、契約書などは葬儀後すぐに確認する必要があります。これらは相続手続きや保険金請求に直結するため、葬儀後1~2週間以内には必ず探し出すことが大切です。遺品整理全体を時間をかけて進める場合でも、貴重品や重要書類だけは早急に整理する必要があります。

家具や家電の整理

家具や家電はスペースを大きく取るため、賃貸住宅でなければ急ぐ必要はありませんが、持ち家でも四十九日や百か日などの法要後に親族が集まるタイミングで整理するのが一般的です。冷蔵庫や洗濯機などは電気代がかかるため、早めに電源を切りリサイクル処分を検討すると良いでしょう。

衣類や日用品の整理

衣類や日用品は相続財産には含まれず、気持ちの整理がついてから進められる部分です。ただし長期間放置すると湿気や虫害によって劣化するため、数か月以内を目安に整理を始めるのが望ましいです。不要なものは廃棄、リユース、寄付など方法を選んで対応できます。

形見分けを行う時期

形見分けは、葬儀後すぐではなく、四十九日や一周忌などの法要に合わせて行うのが一般的です。親族が一堂に会する場で分けることでトラブル防止にもつながります。故人の思い出を尊重し、慎重に品物を選ぶことが大切です。

デジタル遺品の整理

パソコンやスマートフォン、SNSアカウント、ネット銀行などのデジタル遺品は、料金が発生する契約も多いため早急に対応する必要があります。特に金融機関や証券口座は相続財産となるため、重要書類と並行して調査しましょう。SNSや写真データは、気持ちの整理がついた時点で削除や保存を検討すると良いです。

仏壇・位牌・遺影の整理

仏壇や位牌、遺影などはすぐに処分するものではなく、しばらく自宅に安置するのが一般的です。一周忌を過ぎてから整理を検討することも多く、不要となった場合はお寺や専門業者に依頼して「お焚き上げ」や「魂抜き」を行う必要があります。

ゴミ屋敷状態の遺品整理

故人が多くの物を残していた場合やゴミ屋敷の状態であった場合は、衛生面や近隣への影響もあるため、葬儀後できるだけ早期に整理を始める必要があります。この場合は感情面の整理よりも実務的な対応が優先され、専門業者に依頼するのが現実的です。

心の整理と遺品整理のタイミング

遺品整理は物理的な作業であると同時に、心理的な区切りをつける大切な過程です。法律上や契約上の期限がない場合は、無理に急ぐ必要はありません。四十九日や一周忌など、親族が集まりやすい時期や気持ちが落ち着いた時点で始めることが、心の負担を軽減するためにも有効です。

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