遺品整理事業と古物商許可
遺品整理事業における古物商許可の必要性について
遺品整理は、故人が生前に大切にしてきた品々をご遺族に代わって整理し、形見分け、処分、リユースなどを行う大切な業務です。
単なる片付けや不用品処分とは異なり、法的なルールや地域の条例に基づいた適正な対応が求められます。その中でも特に重要なものが 「古物商許可」 です。
古物商許可とは
古物商許可は、各都道府県の公安委員会が交付する営業許可で、法律的には「古物営業法」に基づくものです。ここでいう「古物」とは、一度消費者の手に渡った物品のことを指します。
対象となる品目は、衣類・家電・家具・時計・宝飾品・自動車など13種類に分類され、遺品整理で取り扱うものの多くが該当します。
つまり、遺品整理業者が「まだ使える品物を買い取り、それを再販売する」行為を行う場合、その業務は古物営業にあたるため、古物商許可を必ず取得しなければなりません。
遺品整理業に古物商許可が必要な具体的理由
1. 遺品の買い取りと再販が発生するため
遺品整理の現場では、家具や家電、ブランド品、宝飾品など、まだ使用可能で価値のある品物が多く残されています。これらを単に廃棄するのではなく、買い取り・リサイクルショップやオークションで再販することで、資源の有効活用や依頼者の負担軽減につながります。
しかし、この「買い取り」と「販売」は法律上「古物営業」に該当するため、古物商許可がなければ違法行為となってしまいます。
2. 不法投棄や盗品流通を防ぐため
古物商には「取引記録を残す義務」があり、品物を扱う際にはお客様の本人確認を行い、台帳に記録します。これにより、不法投棄や盗品が市場に流通するのを防ぐことができます。
無許可で営業する業者はこの管理体制を持たないため、依頼者の品物が不正に処分されたり、悪用されたりするリスクが高まります。
3. ご遺族に安心感を与えるため
故人の大切な持ち物を扱う以上、依頼者は「安心して任せられる業者かどうか」を強く意識します。古物商許可を取得している業者は、警察の審査を経て営業を認められているため、一定の信頼性が保証されます。「この業者なら不正なことはしない」という安心感を、ご遺族に提供できるのです。
4. 遺品整理サービスの幅を広げるため
古物商許可を持つことで、遺品の処分だけでなく「買い取り」による費用削減や、「リユース・リサイクル」を提案できるようになります。依頼者にとっては費用面でのメリットが大きく、業者にとってもサービスの幅を広げ、競争力を高めることができます。
古物商許可が不要なケース
もちろん、すべての遺品整理に古物商許可が必要なわけではありません。
たとえば、
- 遺品をすべて廃棄物として処分するだけで、買い取りや再販を一切行わない場合
は古物商許可は不要です。
しかし現実的には、「一部の遺品を再利用したい」「買い取ってほしい」と希望するご遺族が多いため、ほとんどの遺品整理業者は古物商許可を取得しています。
古物商許可を持つ遺品整理業者を選ぶメリット
- 法令遵守が徹底されている安心感
→ 不法投棄や不正処分のリスクが低い - 買取サービスで費用削減可能
→ 作業費用の一部を相殺できる - 信頼できる取引体制
→ 警察への届出済み業者なので安心 - リユース・リサイクル対応
→ 環境にも優しい整理が可能
まとめ
遺品整理は、ご遺族の心に寄り添いながら、故人の大切な品々を適切に整理していく専門業務です。その中で「古物商許可」は、単なる形式的な資格ではなく、法律を守り、ご遺族に安心を与え、業務の幅を広げるために不可欠な許可です。
もし遺品整理業者を選ぶ際には、古物商許可を持っているかどうかを必ず確認することが、信頼できる業者選びの第一歩となります。
